自動車部品を始めとする製造業では、製品の企画後、量産が行われるまでに生産方法を検討・設計していく「生産準備」というプロセスがあります。生産準備においては、業務の効率化や安全性の確保、DX化、環境への配慮、在庫リスクの削減などあらゆる配慮が求められるものです。生産準備の業務と課題、それらを解決する方法について解説していきます。
生産準備とは
生産準備とはどのような仕事なのでしょうか。自動車業界における生産準備の業務と重要性、課題について解説していきます。
自動車業界における生産準備の業務
自動車業界の生産準備の業務は一般的に、製品企画、設計、工程設計、原価企画、調達計画、負荷予測、進捗管理です。生産準備段階でいかにコストを削減し、効率のよい生産工程を設計できるかが、他社との差別化に繋がります。
また、製品に不具合が生じないよう事前に課題の洗い出しを行う必要もあります。不具合が生じる可能性のある項目を並べ、それを防ぐ対応策の考案、もし生じた場合は調査と原因追及、改善策を立てなければいけません。
生産準備の重要性
生産準備では、市場のニーズや製品の変化に合わせて最適な生産方法を見つけ出すことが求められます。例えば自動車業界は若者の車離れが加速している他、新型コロナウイルスやウクライナ危機の影響による原材料価格の高騰などが、直近の変化として挙げられるでしょう。他にも、自動運転やカーシェアリング、電気自動車の普及など、市場は常に変化しています。
これらの状況に対応した、低コストで高品質な生産工程の検討・計画を行い、準備期間の短縮を検討しなければいけません。近年は脱炭素など環境問題に取り組むことも重要です。
そして何よりも配慮すべきなのは、安全性です。設備を導入する際、設備の安全性や事故を起こさない配置の検討は生産準備の一番の仕事と言えます。また製品に不具合が発生した場合、車などでは人命に関わる事故が起こる可能性もあります。生産準備において、安全性は何よりも大切にするべき項目です。
生産準備で発生しやすい課題
製造業において重要な工程を背負う生産準備には、どのような課題があるのでしょうか。複数の部署・拠点が関わることで課題になるのが、情報の統一です。
部署によって入力する項目やチェックする項目が異なるため、部品表やドキュメント情報、日程計画/予実などがシステムごと、部署ごと、人ごとにバラバラに管理されていることが多々あります。そうすると、作業の進捗状況をリアルタイムで把握することが難しくなります。
その部署内では使い勝手が良くても、部署ごとに使うシステムが異なることで、情報の行き違いが発生したり、最新情報の更新がされていなかったり、二重入力や手作業の転記による入力ミスが発生したりしてしまう危険性も。
細かなズレによって遅れや手戻りが生じると、全体を通して大きなスケジュール変更やコスト超過、品質悪化につながる恐れもあるでしょう。また、情報がバラバラに管理されていると、不具合・苦情発生時の原因追及に時間がかかってしまい、顧客からの信頼喪失にも繋がりかねません。
情報を一元化すること、進捗情報を見える化すること、入力ミスを防ぐ管理方法を講じることは、生産準備における大きな課題と言えます。
「ものづくリンク」が実現する生産準備支援ソリューション
生産準備における情報管理の課題を解決するのが、株式会社JSOLの部品表システム「ものづくリンク」です。株式会社JSOLはICTシステム開発・コンサルティングを手がける、NTTデータおよび日本総研のグループ企業です。1998年から部品表システムの案件を手がけ、2019年に「ものづくリンク」としてソリューション提供を開始しました。
ものづくリンクでは、営業や設計、生技、生管、調達、品証、工場などの複数拠点・部署をまたいだ情報が1つのシステムで管理されるため、生産準備における情報管理を効率的かつスピーディに実現できます。属人的になりやすいノウハウの蓄積も行います。
BOM(部品表)を中心とした情報の一元化
「ものづくリンク」の大きな特徴は、BOM(Bill Of Materials)と呼ばれる部品表を中心に情報を一元化できることです。依頼書・手配書から、図面・部品表、生産工程表まで、製造業の開発・設計における情報を、生産プロセスで生じる部品表を中心にシステムによって一元管理を行います。生産準備が制作する日程計画・進捗予実も、部品表に紐づけて管理することができます。そのため部署内はもちろん、営業や工場、技術部門など部門を超えて情報共有が可能です。書面やメールの行き違いによるトラブルは格段に減るはずです。
データとデータが紐付けられており、芋蔓式に情報を引き出すことができるので、情報の検索も楽になるでしょう。さまざまなデータファイルを照らし合わせる必要はなくなり、情報の把握もしやすくなっています。
また、生産準備にまつわる情報をものづくリンクに統一することで、封筒に入れた書面を部署間で送りあったり、情報が最新かどうかをチェックしたりする必要がなくなり、情報の連携を正しく早く行うことができます。ペーパーレス化が進めば、書類の保管場所の確保や、情報漏洩の危険性も減らせることもメリットです。
手配業務の効率化
情報をものづくリンクに集約することで、手配業務も効率化することができます。案件に類似した案件情報をすぐに検索し、参考にすることも可能です。自分が担当したことのない案件でも、ものづくリンクに集まった情報を検索することですぐに類似案件を探すことができ、社内のノウハウをフルに活用することができます。手配業務の手間を省くだけでなく、より案件に適した設備を手配することができ、課題を次工程に持ち越さない業務の流れを実現します。
データの一元管理
ものづくリンクでは、原価企画、見積原価の計算、コストコントロールが可能です。原価管理にまつわるデータと予算管理、部品情報が別々のシステムで管理されがちですが、ものづくリンクはそれらのデータを一括で管理します。製造原価の分析も、ものづくリンクで行うことができます。
機番や品番、加工区分、図面、材質、内製・外製区分などを一覧で見ることができ、業務や部署に合わせてカスタマイズが可能です。
調達時の見積もり管理機能を利用すれば、サプライヤーとの調達仕様・見積書の送受履歴を管理することができ、見積もり依頼と回答受領作業の効率がアップするでしょう。また、情報のソースが1つになることで、二重入力を回避することができます。
進捗情報の見える化
設計開発、生準工程の進捗をものづくリンク内で管理し共有すれば、納期遅延の防止にも繋がります。工程計画や材料の調達日、工場トライ、出荷リミット、設備設置の完了日、出荷完了日などを一覧で見ることができ、ものづくリンクでどの部署も進捗の最新情報を確認できます。そのため、各部署から生産準備に問合せが来るたびに情報を確認し、返答を行う工数を一気に削減できます。情報の確認ではなく、情報を活用した業務効率化や品質向上のための議論に時間を割くことが可能です。
ノウハウの蓄積
不具合情報を蓄積できることも、生産準備において重要なメリットと言えます。安全性と品質を高めるために、不具合の傾向や条件を分析し、今後のリスク対策に活かすことができるからです。
また、過去の事例から最適な生産準備を考案できるため、担当者によって業務の質やスピードが大幅に変化することを防げます。個人の経験だけではなく、会社全体の経験を活かすことは、人材不足の中で若手社員が高い品質で業務をこなすことにも繋がるのです。深刻な人材不足に悩まされる今、どんなスキルを持った人材でも生産準備の仕事を行えるようになれば、人件費や教育コストを抑えながら生産準備の品質向上を目指せます。
まとめ
生産準備にまつわる情報の一元化と、業務の効率化、スピードアップ、ノウハウの蓄積を実現するものづくリンクは、課題解決におすすめのソリューションです。営業が受注した情報から、技術情報(E-BOM)、生産情報(M-BOM)まで一括管理できるため、業務プロセスを見える化することができます。業務に必要な業務モジュールのみ選択し、カスタマイズできるため、業務にフィットしたシステム構築が可能です。また英語・中国語・インドネシア語・タイ語・フランス語・チェコ語・トルコ語など多言語に対応、顧客対応実績もあり、海外拠点への展開も安心して行えます。
エクセルデータをコピーして部品表に貼り付けたり、ファイルをドラッグ&ドロップすることで登録したりすることもできるため、Windowsならではの操作感を再現しております。そのため、DX推進担当者を十分に確保できない、ITリテラシーの低い社員が多い企業での導入障壁を下げることができます。
ものづくリンクを利用して、生産準備の課題を解決し、変動性の高い時代に価値を発揮する生産準備を実現していきましょう。